フリーランスWebデザイナーが初案件を獲得する方法
フリーランスWebデザイナーを目指して日々勉強をしているみなさん、そろそろ実案件を受けようと準備を進めているみなさん、いかがお過ごしでしょうか?スキルの向上は実践あるのみ…と言われますが、最初のうちはその実践を積む機会がなかなか持てませんよね。今回はそんな新人のみなさんが最初に案件を取るまでのお話を書いてみます。
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新人フリーランスWebデザイナーは仕事を受けにくい?
答えはYES。新人を雇わない理由はたくさんあります。まずは品質への不安。クライアントの立場で考えてみると、やはりクオリティの低いサービスは受けたくありません。そして指定した時間通りに納品してくれるかも不安です。つまり信頼がないわけですね。
一度も案件をこなしたことのない新人にはレビューも実績もありません。品質がどんなものなのか、納期が守れるのかもわからない相手に仕事を依頼したくありません。例えば家の冷蔵庫が壊れたとしましょう。見ず知らずの赤の他人、しかも「冷蔵庫?直せますよ!直したことはないけど!時間もどれくらいかかるかわかりません!」と胸を張って言っている人に修理を依頼するでしょうか?
では新人フリーランサーは仕事がないじゃないか?と聞かれると、そうとも言えません。大丈夫、仕事はあります。ただし案件を獲得するまでの準備や努力は人一倍必要です。
案件獲得のためにやっておくこと
実際に案件獲得のために動き出す前、勉強中の段階でも以下のことを意識しながら準備していきましょう。
ポートフォリオサイトを作る
まずは自己紹介となるポートフォリオWebサイトを作ります。通常ポートフォリオサイトにはこれまで作成したWebサイトやデザインなどの制作物を掲載しますが、最初のうちは掲載できる実績がない分、自己紹介欄を充実させるといいでしょう。
なぜこの業界に入ったのか?どんな思いで仕事に取り組むのか?今なにを勉強していて、今後どうなりたいのか?他のだれかではなく、あなたに仕事を依頼したらどんなメリットがあるのか?
これまでの経歴や趣味、Webサイト制作以外に得意なことも掲載しましょう。例えばネイルアートが趣味だとします。Webサイト制作とはまったく関係ないスキルですが、ネイルサロンを経営している方がWebサイトがほしいと思った時、ネイルに関する知識がまったくない人よりも、趣味としてでもネイルが好きなあなたに依頼をしたくなるはずです。
時間の見積もりをできるようにしておく
クライアントは素人です。Webサイト制作にどれくらい時間がかかるのかわからず、無茶な納期を告げることもあるでしょう。それをうまくディレクションしていくのもあなたの仕事です。どの工程に何時間くらいかかるか、なぜこの作業には時間がかかるのか、など説明できるようにしておきます。
時間の見積もりをしやすいように、Webサイト制作の勉強中からこまめに時間のログをつけておきましょう。私が昔から使っているのはToggl Trackというツールです。スマートフォン用アプリもあります。ワイヤーフレーム制作を始めたらワイヤーフレームのラベルをタップしてログ開始、ホームのコーディングを始めたらログ開始…という感じですね。ログがたまればたまるほど、どの工程にどれくらい時間がかかっているのかがわかるようになり、時間の見積もりがつきやすくなります。Togglでは時給を設定しておけば、料金の見積もりもしやすくなるのでおすすめです。
同業界の知り合いを増やす
同じWebサイト制作業界で知り合いがいると、その人を通じて仕事の依頼があったり、一緒にプロジェクトを進めたりすることもよくあります。仕事をする上での悩みを相談し合ったり、最近のトレンドについて情報交換ができるので、同業界の知り合いは積極的に増やすといいでしょう。
とは言え、独学やオンラインスクールで勉強してきた人は、同じ業界の知り合いがあまりいないんじゃないかなと思います。制作会社で働いていればまわりは同業者ばかりですが、フリーランスの場合はそうはいきません。その上、かつてはオフラインのイベントや勉強会があったので、そこから人脈を作って…という流れもありましたが、昨今の自粛生活でなかなか知り合いを増やすことが難しくなってきているのが現状です。
オンラインでのイベントや勉強会は行われているので、都合をつけて参加してみるといいでしょう。また、SNSでのつながりも持っておくといいですね。私も実際にあったことのない同業界の知り合いはたくさんいます。ゆるーくでもいいのでWebサイト制作という共通言語のある知人がいるというだけで心強いですよ。
で、案件はどこで見つければいいの?
ここからが本題。具体的にどこで案件獲得できるのか、私の実体験を元に紹介します。
知り合い・友人づて
私のまわりのWebデザイナーの方は、大多数が最初の案件は知り合いのWebサイト制作だったようです。私自身もフリーランスをはじめたばかりの頃は、昔バイトしていたショップや友人のバンドのWebサイトなど、直接知っている人からの依頼を多く受けていました。
知り合いづてで依頼をもらうには、とにかく自分がWebサイトを作る仕事をしていることを言い広めることが大切です。友人との何気ない会話で「今Webデザインやってるんだよね」なんてサラッと伝えておきます。友人だけではなく、行きつけのカフェ、美容室、ショップなどなど、会話する機会があるときには意識しておくといいでしょう。これは営業しまくるというわけではありません。あくまで自分がフリーランスのWebデザイナーであるということを認知してもらうのが目的なので、しつこく「仕事ちょーだい!」など言わない方がいいですね。
SNSを活用する
Twitter、Facebook、Instagram…様々なSNSがありますが、多くのものは情報発信に特化しているため、案件を探すのは少し難しいかもしれません。自分から進んでWebサイト制作に関する情報を掲載する目的での利用となるでしょう。Twitterでは時々単発でデザインや制作の依頼をしている人もいるので、こまめにチェックしておくとよさそうです。
情報交換や同業者とのコミュニケーションなら、Discordが向いています。DISBOARDというWebサイトでコミュニティの検索ができるので、興味のテーマで検索してみてください。
私も駆け出しのころはSNSで案件を獲得したことがあります。当時流行っていたmixiの「海外生活している人」コミュニティに参加していました。その掲示板をボーッと眺めていたところ、日本語・英語どちらにも対応したWebサイトが作れる人を募集している方がいました。すぐにメッセージを送ってオンラインでの面談後、正式に採用されました。このようにデザインや制作に関するコミュニティだけではなく、自分の得意な分野にもネットワークを広げておくことが大切です。
営業をかける
直接営業メールを送るのもひとつの手です。まだまだ中小企業や個人経営のお店などはWebサイトを持っていないところも多いです。また、Webサイトはあるものの、かなり古い作りになっていたり、使い勝手が良くない場合もあります。そういったところをリストアップしてメールをしていきます。
ただし、スパムはやめましょう。誰彼構わず同じ定型文をコピペして送っても、送られた方はすぐにわかります。知人が言っていましたが、営業メールを送るときは毎回ラブレターを書くつもりで内容を考えるそうです。現状を指摘し、自分だったらより成果をあげられること、具体的な改善点、なぜ自分に依頼するといいのかなどを、簡潔に、かつ丁寧に書きつづります。
制作会社への営業もありです。いわゆる下請けってやつですね。特に求人をかけるほどでもないけど、少し人手が欲しいなぁーというタイミングもあります。私もかつて営業メールをいただいてから、実際にその方に制作の一部をお願いしたことがあります。その方は私のポートフォリオサイトを見て連絡をくださったようで、「何かできることがあればいつでも連絡ください!こんなことが得意で、今すぐにでも仕事できます!」という感じでした。ちょうどとりかからなきゃいけない案件がいくつかあったので、試しにお願いしてみることに。作業も早くやりとりも丁寧で、その後も継続してお願いしていました。
無視されることもあるでしょう。ですが、困ってそうなクライアントとなる方や制作会社を探し、自分に何ができるかを考え、メールにまとめて送信する。そこに至るまでの過程は絶対に今後の力になるはずです。
クラウドソーシング
フリーランスの案件獲得と言えばまっさきに思いつくかもしれませんね。クラウドソーシングとはオンライン上で業務を外注するサービスです。簡単に言うなら「ネットを使った在宅ワーク」ですが、Webサイト制作やアプリ開発をはじめとした、高いスキルが求められるプロジェクトも多いです。
例えばこんなサイト:
ただ、正直私はクラウドソーシングの優先度は低めです。確かにフリーランスの方向けに作られたサービスなので、初めての案件を探すには良くも悪くも楽できます。ただ、全体的に単価は安く、競合が多いため、意外と案件獲得までの道のりは長いかもしれません。
クラウドソーシングでどんな仕事が需要あるのか調査してたら、デザイン+WordPressのWebサイト制作で1月15日掲載・1月30日納期というなかなかな案件あったけど、この金額ならやるよね。 pic.twitter.com/FZGBQdzhaB
— Mana (@chibimana) January 29, 2021
私自身は前述の方法で案件を獲得してきたので、クラウドソーシングで案件を受注したことがないのですが、案件を依頼する側としては利用したことが何度かあります。案件を投稿するとみなさん積極的にご応募くださりました。その中でも印象的だったのが、「このサイトで同じエラーを解決した事あります!」「Manaさんのいるバンクーバーとは時差が◯時間あるので、バンクーバー時間の◯日の◯時までにテストサイトでの動作確認を完了し、◯時までには本サイトのエラーを完全になくせます!」と、まだ正式に受注してないにもかかわらず細かい時間の見積もりも出してくださる方がいらっしゃいました。彼は過去も同様のプロジェクトを完了していたようなので正式に依頼をしました。
このようにクラウドソーシングで応募する時も、「応募します!」だけではなく、具体的にどう取り組めるのか、時間の見積もり、他ではない自分だからこうできるという点を書いて応募してみてはいかがでしょう?
結局コミュ力
ここまで読んできた新人フリーランスの皆さんは「なにそれ大変じゃん…」と思うことでしょう。そうです、フリーランスは楽な逃げ道ではありません。1人ですべてこなさなければならない分、一般の会社員よりもはるかに大変です。SNSなどで「フリーランスは楽に稼げるよ!」なんて言っている人も、裏では多大な努力を積み重ねていることでしょう(たぶん)。
「コミュ力ないから家で一人で稼げるフリーランスになりたい!」と思っていたあなた。残念でした。フリーランスで仕事を得るには、スキルだけではなくコミュニケーション能力が必須です。とは言えコミュ力ないなら諦めろと言っているわけではありません。コミュニケーションだって立派なスキル。実践を繰り返してレベルアップしていくものです。
焦らず、少しずつ、踏み出そう
フリーランスで稼ぐんだと決めたなら、まずは焦らず勉強を続けながら、じっくりと案件獲得につなげるための種をまきましょう。チャンスに気づけるようアンテナを張りましょう。相手の立場にたってコミュニケーションを取りましょう。周囲のサポートに感謝しましょう。そしていつの日か、「この人だから依頼したい」と言ってもらえるよう、まずは小さな一歩を踏み出してくださいね。
ちなみに
フリーランスになること自体は簡単です。
Q:どうすればフリーランスになれますか?
A:念じればその場でフリーランスです
解説:個人事業主の開業届は開業した日から一ヶ月以内に出せばいいので「今日から開業する!」と思えばその場でフリーランスデビューです。おめでとう🎉— Mana (@chibimana) April 23, 2021