Webデザイナーの私がブログを書き続ける理由

先月、『海外でWebクリエイターとして働くには?』対談セミナーが無事終了しました。私自身初のセミナーだったので、かなり緊張したのですが…多くの方に来ていただき、感謝感謝です。セミナーでは海外でのWeb関連のお仕事事情や留学情報がメインテーマだったのですが、ブログ運営についても少しお話しました。残念ながら時間の都合上すべてを語りつくせなかったので、補足も兼ねてブログをすることのメリットを記事にしようと思います。

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ブログを始めたきっかけ

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2009年、夏。バンクーバーのとあるカフェで、同じく駆け出しであった日本人Webデザイナーの友人にWordPressのオリジナルテーマの作り方を教えていました。彼曰くWordPressに関する記事は当時英語で書かれたものばかりで、日本語で詳しく書かれたサイトがあまりなかったようです。「海外に住んでるんだし、英語のサイト見ればいいじゃんw」なんて言いながらも、海外ではすでにメジャーなCMSであったにもかかわらず日本ではほとんど普及していない事に疑問を感じていました。それ以前からも、日本語と英語では情報量に圧倒的な差があることには気づいており、この日をきっかけに「Web関連の日本語での情報をもっと増やせないか?」と少しずつ考えるようになりました。

Webクリエイターボックスを始めた理由
その後「人生をより楽しくさせる100の方法」という記事でも書いたとおり、時間があったことやその記事に感化されたこともあってブログを始めることにしました。

無知の知

Web関連のブログを始める…とは言え、当時はまだまだWebデザイナーの卵であった私。英語のWebデザイン系ブログを購読し、情報をインプットしていく習慣は身についていたものの、何をどう書いていけばいいのかサッパリわかりませんでした。とりあえず、すでにある知識を少しずつ見よう見まねでアウトプットしていくことに。

記事を書いていくなかで強く感じたのが、深く理解していなければ、うまく文章にまとめられないという事。すでにブログを書いたことがある人は、スラスラと言葉がでてくる記事とそうでない記事がある事に気づくと思います。そう、自分が理解しているつもりであっても、細かい所まで完全に理解しきれないでいると、それにともなってなかなか文章も出てきません。必死にしぼりだした言葉をまとめても、ぼんやりとした説得力のない記事になってしまったり。そこでようやく自分の理解力が不足していたことに気づくのです。

それを解消するために、さらに情報を集めて、知識を増やして、様々な角度から物事を見るようになりました。人に説明することで自分の理解が深まるのです。このように自分が理解できないでいたことを理解し、克服しようとする経験が、知識を増やすことに繋がるのだと思います。

自身のスキル向上

最新の技術を紹介するには、常に自分でも最新の技術を学び続けなければいけません。ブログを始める前はただ漠然と情報をインプットし続けていましたが、ブログを始めてからはインプットした情報を記事に書けるか?自分ならどう書くか?等と情報を選択するようになりました。そこで一旦フィルターにかけることで、インプットの質が向上していきました。アンテナの感度もぐんぐん高まり、新しい知識に貪欲になっていきます。

Web制作関連のブログであれば、HTMLやCSS等のコーディングについて記事にする機会も多いです。今までならそのままEvernoteに保存していた新しいコーディング方法も、記事にするとなると実際に自分でテストしてみたり、カスタマイズしたりして手を動かす必要があります。その上、公の場に自分の知識を公開するとなると、間違った情報を掲載するわけにはいきません。次第に言葉のひとつひとつに責任を持つようになるので、ブログは正しい知識を身につけるためのアウトプットの場所として適しています。

文章力アップ

ブログ開始当初は文章を書くことが本当に苦手でした(今も得意ではありませんが…)。当時は本を読む習慣もなかったためか、語彙が乏しく、全体的にまとまっていない記事が多かったような。それでも誤字脱字にだけは注意を払ってなんとか記事を書き続けました。

1年くらい経てば、継続は力なりとはよく言ったもので、そんな文章力であっても次第にブログに適する文章というものをなんとなーく掴んできました。記事の起承転結をはじめ、ひとつの段落に最適な文字数、箇条書きの使い方、目次の必要な記事・いらない記事、などなど…(過去記事 ブログ記事を読んでもらうための10の書き方にも少し書いています)。今も自分の文章力が素晴らしいとは到底思えませんが、少なくともブログ開始当初よりは文章を書く事に対して苦手意識はなくなりました。

こうしてブログを書き続けたことがきっかけとなって、雑誌の執筆や、書籍の発行も実現しました。これはどれも思いがけない出来事で、ブログ開始当初では想像もしていませんでした。ありがとうございます!

新規クライアントの獲得

現在はクリエイター向け留学サポート企業「Frog」での活動をメインにしているため、制作の仕事はしていませんが、フリーランスのWebデザイナーとして活動していた時はブログが一番の集客ツールとなっていました。Webデザイナーとして働き始めたばかりの頃は、知り合いや、知り合いの紹介などからお仕事をいただいていましたが、ブログを始めてからはブログを読んでいただいた方からの依頼がほとんどでした。

フリーランサーにとって、制作実績を掲載しているポートフォリオサイトが集客ツールとなります。しかしポートフォリオサイトだけでは実際にどんな知識を持っているのか、何が得意なのかが伝えづらく、なにより人目につくことが難しいです。それに対しブログでは、サイトの制作プロセスから制作に対する考え方まで、こまかく説明することができます。更に定期的に記事を更新することで、多くの人に存在をアピールすることができます。

人との出会い

ブログを通じて様々な方と出会えました。記事にコメントをしてくれた方やTwitter・Facebook等のSNSで話しかけてくれた方、メールで感想を送ってくれた方…。2011年には日本に帰国したタイミングで実際に多くの方とお会いすることができました。オーストラリアやロンドンではイベントに招待していただく事もありました。これまででは出会うことのなかったような人たちに会って、意見を聞いて視野が広がったのは一番の収穫でしたね。病気で(精神的に)腐ってた時は多くの励ましに涙しました

中でも印象的だったのはバンクーバーのうぇぶ屋の中の人、セナ氏との出会いです。彼との出会いは私がバンクーバーに住んでいた時なのですが、「同じバンクーバーに住んでるし、お会いしませんかー?」と声をかけたのがきっかけでした。会って話してみるとなんと家が隣ということが発覚!建物内には三歩で行ける距離という事もあり、物をおすそ分けしたり掃除機を借りたりと仲良くさせていただいてました。私がイギリスに引っ越してからもちょくちょく連絡する機会があり、この度会社Frogの設立や対談セミナーの開催もすることに。お互いブログをしていなければ会うこともなかっただろう、とよく言い合っています。

他にも英語でブログを始めてからは、海外の人からも感想や問い合わせメールを頂くようになりました。「何か仕事があれば手伝いますよー」という営業メール(?)も頂き、そのままお仕事をお願いしたこともあります。こうやって人脈がひろがっていくのはブログの大きな魅力のひとつであり、それを理由にWebクリエイターボックスは続けていけているんだと思います。

ブログを続けるコツ

ブログの魅力は理解しつつも、続ける自信がないという声もよく耳にします。Webクリエイターボックスは運営開始から4年半がたちますが、私自身こんなに続くとは思っていませんでした。私の場合はブログを続ける苦痛よりも上記にあげたメリットの方がはるかに大きかったので、ここまで続けてこれたのだと思います。

まず言えることはブログの更新を目標にしないという事。ブログで収入を得ることを目標としたブログであれば毎日更新することが推奨されるのかもしれませんが、今回は「Webデザイナーとしてのメリット」を重点に考えているため、これに該当しません。当ブログの更新頻度も平均すると週1回程度で、毎日更新なんて運営を始めてから一度もしたことはありません。ブログを運営する目的がなんなのか、どのようにプラスに作用するのかをよく考えましょう。何もネタが思いつかなければ更新しなくてもいいんです。力を入れすぎず続けていければなあと思います。


ブログを運営していくことはWebデザイナーにとってひとつも無駄にはならないと思っています。目先の収入ばかりに気を取られていては、その先にある大きな転機につなげることもできないでしょう。ブログを自己ブランディングの媒体として活用し、今後の活動に活かしましょう!

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