初めてのデジタル一眼レフ動画撮影の前に知っておきたい基礎
今回は私の所属する留学サポート企業Frogのブログでもインタビューさせていただいたふーみんによるゲストブログ!プロモーションビデオ撮影の際に気づいたこと、設定方法などを紹介してくれます!ちなみにそのプロモーションビデオのナレーションは私、Manaが担当していますw 動画の中にもちょこっと登場しているので、探してみてくださいね ;)
↑私が10年以上利用している会計ソフト!
初めまして、バンクーバーにてクリエイター留学中のふーみんです!Manaさんが素敵な広報を担当する留学サポート企業Frogが運営し、僕自身の住居でもある『Frog House』のプロモーションビデオを制作しました!完全素人であった僕が、学校のインストラクターや友人のシネマトグラファーからのアドバイスをもとに1から動画撮影について学んだことを共有したいと思います。
制作したプロモーションビデオがこちら。今回Frog Houseの備品としてスタビライザー(動画撮影時のブレを抑えるための装置)を購入してもらったことをきっかけにプロジェクトが始動しました。住人はもちろん、Frogに関わる日本人クリエイターたちに出演していただきました。主にFrog House内での生活風景とセミナー風景を撮影し、オープニングにはバンクーバーの街並や生活の基盤である電車、スカイトレインの映像を入れました。後半ではFrog House付近でのリアルな生活をそのまま撮影しています。
撮影前に知っておきたい、編集作業をスムーズに進めるための4つの心構え
初めて動画作品を作る場合、ご自身が撮影者であり編集者でもあると思います。4つの心構えをしっかりおさえることで、後の編集作業がスムーズに進みます。
1. コンセプトを忘れずに!
完成イメージをしっかり持って撮影に臨みましょう!それぞれのカットは綺麗でかっこいい動画でも、作品全体の印象に合わないこともあります。作品のコンセプトをしっかり考えておくだけで思い通りのカットを撮れる確率はあがってきます。
Frog Houseを運営するお二人と話し合い決めたコンセプトはこちら。
主に伝えたいこと
- Frog Houseはみんなで集まりスキルシェアをするところ
- 日本ではまだ馴染みのないシェアハウスでの生活
- バンクーバーに存在する
映像のイメージ
- 生活感も残しつつ、綺麗で爽やかな印象に仕上げたい
- 映像を見た後に、ここに来たいと思ってほしい
2. それぞれのカットを長めに撮っておく
あとで動画を延ばすことはできません。使いたい部分の前後を少し長めに撮影しておくことをおすすめします。いらない部分を切り取る作業は簡単です。
Frog Houseのプロモーションビデオの編集中に、BGMにあわせて心地よいタイミングで次のカットに切り替えたい、けど動画が短い、どうしよう…なんてことがありました。
3. 同じカットも何度か撮ってみる
編集時に初めて気づく撮影ミスはたくさんあります!撮影場所でカメラの小さな液晶で確認しても気づかないピンぼけや不要物の映り込みが原因で撮り直しとなると大変です。もしかしたら二度と撮れないカットかもしれません。撮れるときになるべく何度も撮っておきましょう。
また、この時に様々なアングルから撮ってみるのも良いでしょう。いつも目線の高さから広いアングルで撮っていると、つなぎ合わせた作品が退屈なものに…。低いところから、または高いところから撮ってみる、被写体に近づいたり遠ざかったりしてみる。簡単に印象が違う動画が撮れます。
4. 動画撮影の前に一度写真を撮ってピントが合っているか確認してみる
カメラの小さな液晶では問題ないように見えても、大画面で見てみるとピントが合ってないことがあります。カメラのセッティングを終えたらまず写真を一枚撮ってみると、被写体にしっかりピントが合っているか確認しやすいです。写真を拡大して確認してみてください。
動画撮影に最適なカメラの設定
1. 動画撮影では自由度が高い方がいい!マニュアルモードで撮影しよう!
動画撮影では写真撮影と違い、フラッシュが使えません。また、動画撮影ではピントが合っている状態を維持しなければならない時間が長いです。カメラが自動的に設定を決めるオート撮影では、思い通りの動画を撮影しようとすると限界があります。マニュアルモードではシャッタースピード、F値(絞り)、ISO感度(カメラのセンサー感度)を個別に設定できます。各項目の説明は後述します。
僕が使用するNikon D7000では左のダイヤルでMモード(マニュアルモード)に設定します。右の画面にはシャッタースピード(50とは1/50秒を表す)、F値(F4)、ISO感度(800)が表示されます。お使いの機種により多少操作方法は変わります。
機種によりマニュアルモードで動画撮影できない場合があります。そのような機種では動画撮影モード時にはシャッタースピードまたはF値(絞り)が固定になっている場合があるようです。
2. 解像度はHD(ハイビジョン)かFullHD(フルハイビジョン)か?
Youtubeなど、Webで作品を公開する場合、デジタル一眼レフカメラで動画撮影では解像度(画像サイズ)はHD(1280×720)またはFullHD(1920×1080)が一般的です。解像度を上げると動画ファイルのサイズも大きくなるので、表示速度などを考慮する場合はHD(1280×720)を選ぶと良いでしょう。
サイズが小さい映像を大きく引き延ばすと荒れてしまうので、動画公開時のサイズが決まっていない場合はFullHD(1920×1080)のような大きなサイズで撮影しておくことをおすすめします。もちろん目的によってHDよりも小さなサイズで撮影することもあります。
今回Frog HouseのPVは様々な方法で公開されることが予想できたため、FullHDで撮影しました。
3. 動画の滑らかさはフレームレートで決まる!ちなみに映画は24fps
フレームレートとは1秒間の動画に何枚の写真が含まれているかを示した値です。単位はfps(frames per second)で、代表的なフレームレートは24、30、60などがあります。この数値が高ければ、つなぎ合わせる写真の枚数が増えるため動画の動きが滑らかになります。同時に動画ファイルのサイズも大きくなります。
スポーツなどの素早い動きを撮りたい場合やスローモーション映像を作る場合では、60fpsなど高フレームレートが適しています。一方で動きが少ない被写体を撮る場合には高いフレームレートは不要です。
この動画では1、5、15、30のフレームレートで撮影した動画の違いをわかりやすく比較しています。
映画の撮影には24fpsを用いるのが一般的なんだそうです。映画のような雰囲気を出したい場合は24fpsを選んでみてください。撮りたい動画にあわせて最適なフレームレートを選びましょう。ちなみに異なるフレームレートで撮影された映像を一つの作品としてつなぎ合わせる場合、編集時に同じフレームレートへ変換する作業が必要となります。
今回のプロモーションビデオの撮影には Nikon D7000を使用しました。この機種ではFullHDで撮影する場合フレームレートは24fpsのみ利用可能でした。素早く動く被写体がなかったので、24fpsで問題ありませんでした。また、Nikon D7000では高画質モードと標準モードが選択できるため、高画質モードで撮影しました。
Nikon D7000では動画の設定>動画の画質 という項目で設定できます。左の赤丸はサイズ、右の赤丸はフレームレートを表しています。
4. シャッタースピードはフレームレートに合わせてだいたい決まってくる
シャッタースピードとは1枚の写真を撮影するために、シャッターを開いた状態で維持する時間の長さを示しています。フレームレートの項目でもあったように、動画は写真の集まりなので、動画撮影にもシャッタースピードは重要です。
シャッタースピードを早くする
- 暗くなる
- 被写体はシャープに映る
- シャッタースピードが早すぎると動きはカクカクして見える
シャッタースピードを遅くする
- 明るくなる
- 被写体はぼやけて映る
- シャッタースピードが遅すぎると被写体の残像がしっかり映る
こちらの動画の比較がわかりやすいですね。
今回は詳しい解説は省きますが、最も自然な動きに見えるシャッタースピードは 1/(フレームレートを2倍した値に最も近い値)と言われています。
例: 24fps で撮影する場合では 24×2=48 となるので シャッタースピードは1/50
この値は一つの目安なので被写体、カメラの機種や撮影環境で変わってきます。写真と違い多少のボケは動画を滑らかに見せる効果があるので、遅いシャッタースピードで撮影されることも多々あるようです。それぞれの特徴を理解して個々の状況に合う設定を試してみてください。
今回は主に1/50で撮影しましたが、天気や時間帯により遅くて1/30 、速くて1/100程度で撮影することもありました。
5. F値(絞り値)でボケと明るさをコントロール!
F値(絞り値)とはレンズが光を取り込む穴の大きさの値です。F値が小さい(レンズ穴をあまり絞らない)と動画は明るくなり、ピントが合う範囲は狭くなるため、前景と背景にボケが強くでます。逆にF値を大きくする(レンズ穴を絞りこむ)と動画は暗くなり、ピントが合う範囲が広くなります。上の動画ではその違いを比較しています。
一眼レフカメラで動画撮影をする場合、このボケを活かして撮影するとかっこいい動画が撮れますが、動く被写体に対して常にピントをあわせようとするのは至難の業です。動画の明るさも気にしつつ、被写体や撮影者自身の動きも考えてF値を設定するとよいでしょう。
今回の使用レンズは35mm f1.8と18-100mm f3.5-5.6(キットレンズ)です。夕方の室内で撮影する場合には35mmレンズのf1.8が役立ちました。35mmレンズは少しアングルが狭く被写体をとらえるのは大変ですが、三脚を使い、かつ被写体の動きが少ない撮影が多かったため問題ありませんでした。
6. ISO(センサー感度)で明るさを決める
ISO感度とはカメラのセンサーの感度を示す値です。ISO感度が高いと少ない光でも明るい映像が撮れますが、主に映像の暗い部分で荒れが発生します。個々のカメラで荒れの発生具合は変化しますので、様々なISO感度で試し撮りしてみてください。事前にどこまでISO感度をあげても綺麗な動画が撮れるのかを見極めておきましょう。
被写体の動きを活かした撮影をしたい場合にはシャッタースピード、またはF値を変えたくないこともあります。そんなときに明るさをコントロールするにはISO感度を変えてみましょう。
ISO感度による違いを撮影した動画です。高いISO感度だと、周りの暗い部分もちゃんと写っているのがわかります。
今回はISO感度は100から1200の間で活用していました。荒れを考えてももっとISO感度をあげても問題ないと考えていましたが、作品コンセプトが明るいイメージだったこともあり、昼間の撮影が多かったのであまり高いISO感度は使用しませんでした。
逆にISO感度を最小値に設定しているのに明るすぎるといったことは多々ありました!このような状況ではレンズに取り付けて減光させるフィルターを使用しなければなりません。
光の量をコントロールするNDフィルター
昼間の野外撮影でF値を小さくしてボケを活かした動画が撮りたい!という時に、光が強すぎて動画が真っ白になってしまうことがあります。ISO感度は最小値、シャッタースピードは不自然な動きにならないギリギリまで速くしたのに、まだ動画が明るすぎるといった場面で『NDフィルター』という光を減らすフィルターが役立ちます。レンズに取り付けることで理想的なF値、シャッタースピードを設定できるようになります。
NDフィルターにも減光レベルがそれぞれ決まっていますが、可変式NDフィルターは減光レベルを調節できます。
追記:ホワイトバランス
ホワイトバランスについてご指摘をいただいたので、「思い通りの色で撮る!一眼レフ動画撮影におけるホワイトバランスの基礎」という記事で詳しく説明しています!よかったらこちらも読んでみてください!
特別な動画撮影技術には触れていませんが、これらの基礎をおさえておくだけで動画のクオリティは上がってくると思います。あとは写真撮影同様、何度も撮ってみて慣れることも重要です。早速みなさんも素敵な動画ライフをスタートさせましょう!