クラウドソーシングのメリット・デメリット
企業に雇用され、決められた場所で決められた時間だけ働くスタイルが主流であった一昔前と違い、ネットをフル活用することにより在宅でできる仕事が増え、フリーランスや在宅勤務など、働き方も多様化してきました。その働き方のひとつとしてあげられるのがクラウドソーシングです。今日は最近話題のクラウドソーシングについて、考えてみたいと思います。
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クラウドソーシングとは
ネットを使って不特定多数の人々に業務を外注するサービスです。実際に会ってミーティングをすることはなく、仕事の依頼も打ち合わせもすべてネット上で行い、業務を完了して報酬を受け取る…というのが一連の流れとなります。簡単に言うなら「ネットを使った在宅ワーク」ですが、Webサイト制作やアプリ開発をはじめとした、高いスキルが求められるプロジェクトも多く、フリーランスの方の中には、このクラウドソーシングだけで生計をたてているという人もいるでしょう。
ちなみによく間違えられますが、クラウドソーシングのクラウドはCloud(雲)ではなくCrowd(群衆)です。
クラウドソーシングの種類
一言でクラウドソーシングと言っても、いくつかの形態に分類されます。
プロジェクト
Webサイト制作やアプリ開発、翻訳、映像制作など、スキルを必要とするお仕事。プロジェクトのすべてを任されるのではなく、いくつかの工程のみを担当するケースが多く見られます。
タスク
文字起こしやデータ入力など、比較的簡単なお仕事。スキルはあまり必要としない分、報酬も低めですが、短時間で完了できるのでスキマ時間を有効活用したい人におすすめ。
コンテスト
主にロゴデザインで活用されるコンペ形式のお仕事。クライアントが複数の提案の中から気に入ったものを選ぶ方式です。集まった提案の中から自分の作品が選ばれると、報酬が支払われます。
アイデア
クライアントの出した要件に沿ったアイデアを応募し、選ばれると報酬が支払われる形式です。Webサイトの改善案や、新規事業の内容などのリサーチ必須なものから、サービス名や新規TV番組名など、思いつき勝負なものまで。
クラウドソーシングのWebサイト
では実際にクラウドソーシングのできるサイトをのぞいてみましょう。いろんなサイトがありますが、代表的な5つのサイトを紹介します。どのサイトのどんな業務が人気あるか、相場はどれくらいなのか、事前にチェックしてみるとよさそうです。コンペ形式のものは提案された作品を見ることができるので、デザインの参考にもなりますよ。
ランサーズ(日本)
クラウドワークス(日本)
受注側のメリット・デメリット
クラウドソーシングを活用するうえでのメリット・デメリットを考えてみましょう。まずは仕事を受ける受注側の立場から。
メリット
仕事を選べる
フリーランサーとして働くことの短所としてあげられるのが、すべての作業を一人でこなさなければならないことです。自分の不得意な作業にぶつかることもしばしば。しかし、クラウドソーシングなら得意な仕事のみを選んで受注することができるので、自分の強みを最大限に活かして報酬を得ることができます。たとえクラウドソーシングをすることで収入が増えないとしても、自分の好きなことだけをしていられるのであれば、報酬には変えられない仕事のやりがいを感じられるのではないでしょうか?
好きな時間に働ける
フリーランスという働き方全体に言えることかと思いますが、基本的に仕事を開始する時間も終える時間も自分でカスタマイズできます。さらにスキマ時間をうまく使って、短い時間で完了できるタスクや、アイデア募集形態のお仕事を定期的に受ければ、収入アップも期待できます。
営業しなくてもいい
時々クライアントもいないし、なんのコネもないのにとりあえずフリーランスを始めた…という方に出会います。そういった人はどうやって仕事を得ているのか?というと多くの場合クラウドソーシングを活用して収入を得ているようです。クラウドソーシングなら地方にいながら都内の仕事を受けることもでき、英語力があれば海外の仕事に挑戦することだって可能です。
打ち合わせの手間や交通費がかからない
クラウドソーシングではクライアントとのやりとりはメールが基本。その他チャットやSkypeで打ち合わせをすることもありますが、実際にクライアントに会うことは稀です。そのため打ち合わせするスペースの確保や、そこへ向かうまでの交通費がかかることもありません。
デメリット
相場は安い
後に紹介しますが、発注する側がクラウドソーシングを利用するメリットのひとつは、直接企業やフリーランサーを指名して仕事を任せるよりも安価に発注できる点があげられます。そのためひとつひとつのお仕事の報酬は高いとは言えず、数をこなす必要があるでしょう。
コミュニケーション不足になりがち
実際に会って打ち合わせをしないことが、逆にデメリットになってしまう場合もあります。わかりにくい点は何度も説明してもらったり、文章で伝えづらい点はSkypeなどを活用して、誤解のないように作業をすすめないと、短時間でできるはずの作業に無駄に時間がかかってしまうかもしれません。
どんなクライアントなのかわからない
実際に会って話すことはないので、本当に信頼出来るクライアントなのかを見抜くのが難しいことも。中には契約にはなかった作業まで押し付けたり、プロジェクトの進行中に音信不通になったり、報酬を踏み倒そうとするブラック発注者に出くわすかも…?(すべて経験談)発注内容やルールを確認し、クライアントが過去に発注した依頼内容を事前にチェックしておきましょう。時にはクラウドソーシングサイトに仲介してもらってトラブルを回避する必要があります。
発注側のメリット・デメリット
反対に仕事を依頼する発注側の立場で考えてみます。
メリット
制作費用を抑えられる
例えば月末のみ多忙になる締め処理や、突発的に発生した集中作業といった作業の量に波がある場合は、クラウドソーシングを有効活用できます。定期的に必要な作業ではないので、雇用する人数を増やすよりも、必要なときに必要な量だけ人材を増やして業務を円滑に進められます。
苦手な仕事を任せられる
フリーランサー同士でよく行われるのが、プロジェクトの一部作業のみをクラウドソーシングに任せる方法。受注側のメリットでもあげましたが、このようにお互いに得意分野のみを任せられるのは、双方におけるクラウドソーシングの一番のメリットですね。
クライアントを増やせる
作業を分担し、他の人に任せて複数の業務を同時進行できるので、ひとつのプロジェクトにかける時間が短縮できます。海外に発注すれば、時差を利用して寝ている間にプロジェクトが完了することも。時間があいた分、新規プロジェクトをより早く開始でき、より多くのクライアントを確保することができるでしょう。また、低予算のクライアント対応にも威力を発揮できそうです。
正規雇用する人を探せる
もし今後事業の拡大を考えていて、将来雇用する人を探しているのであれば、クラウドソーシングは人材を探すためのひとつのツールとなるでしょう。実際にいくつかのプロジェクトを任せ、その人の仕事ぶりを見ることができるからです。正規雇用としなくても、長期的に業務を任せられるパートナーを見つける事は、双方にとってメリットをもたらします。
デメリット
セキュリティ
発注側は社外の人に業務内容を渡すこととなるため、機密情報が外部へ漏れてしまうことが心配されます。また、例えば顧客情報のデータエントリー業務を発注した場合、個人情報の扱いについてどう対応するのか、考えなければなりません。
人を見極めるのが大変
確実に締切を守ってもらえるのか?途中放棄されないだろうか?などなど、やはり簡単な自己紹介文だけでは判断できない部分も多くあります。トラブルを回避するためにも、受注者のスキルや過去の仕事内容、評価を確認する必要があります。完璧に依頼内容を遂行してもらえるか、という点をどう判断していくかは、これからもクラウドソーシングサイトの運営サイドの課題となりそうです。
まとめ
これまでは地方に住むフリーランサーは都心部の人に比べて不利であるとされてきました。やはり発注元は都心部に集中し、実際に会って打ち合わせができない分、仕事の依頼数が少なくなってしまうことが原因です。しかし、クラウドソーシングを使えば、地域だけでなく国境までも超え、24時間いつでもどこでも仕事を受けることができます。さらに自分の得意分野のみに的を絞って受注できるので、自分の価値をさらに高めながら、新たな分野にも挑戦することができます。
ここであげたデメリットについても正しく理解し、うまく活用して自分にあった新しい働き方を見つけてみてはいかがでしょう?